「駆け引き」のゲームデザイン


 皆さまどうもです。

 第2回目の開発ブログとなりますが、今回担当の氷永(ひなが)です。はじめまして。

 なんだかんだと20年近くカードゲームをやっております。とは言っても地方のショップ大会に出ていた程度で、競技シーンに顔を出したりはしていないので、全くの無名プレイヤーです。前回を読んでいただいた方は覚えていらっしゃるかもしれませんが、千絢の冗談を真に受けてメレクリの草案を持ってきた馬鹿がこいつですね。

 

 メレクリではゲーム開発はもちろんですが、デザイン全般も担当しています。カードイラストや背景はほとんど他クリエイター様のものを使用させていただいていますが、その他は私の方で担当をさせていただいております。


↑例えばですが、ここら辺とか描いてます。特に左のパッケージの子は結構気に入っているんですが、お褒めいただく機会もそこそこあってありがたい限りですね。

 

 

 カードゲーム的には、ミッドレンジ~コントロールのデッキが好きでよく握ってます。その影響もあってか、コハクやコクヨウのゲームデザインを担当することも多いです。

〇メレクリのゲームメイクの特徴


 さて皆さま、カードゲームにおいて楽しいことって何でしょう?もちろん楽しいと感じる瞬間は人それぞれだと思いますが、私は「相手とのやり取り」がとても好きです。試合中のちょっとした会話ももちろんですが、駆け引きが成立している瞬間、あれがとてつもなく楽しいんですよね。お互いに相手のデッキリストや手札を想定しながら、相手の動きをケアしつつ、自身の最善手を目指す。あのお互いに頭をフル回転して勝利を目指す感覚が大好きです。

 

 というわけで、メレクリにはこういった私の好みが割と大きく反映されております。では、「駆け引き」を発生させるためには何が必要となるのでしょうか。

 

 メレクリでは、「行動の選択肢を増やす」という方針でカードデザインをしています。自分がどの選択肢を採るか、また、相手がどんな動きをしているか。カード1枚あたりの動きの択が増えるだけでゲーム全体は複雑になり、場を読み合う駆け引きが発生する、こういった構造ですね。実際に3枚ほどカードをご紹介しましょう。ここから、ちょっと難しい話になりますので、最後までお付き合いいただけますと幸いです。

 

〇例1:サブコア

 代表的なのは、前回も少しご紹介しました、サブコアですね。メレクリの根幹をなすカードの1枚ですが、これ1枚で択がまあ増えるんですよ。わかりやすいところで言えば、

 

・相手のサブコアをアタックするか、しないか 

・どのタイミングで自分のサブコアを解放するか 

 

 とかになるんですが、これだけではありません。お互いの盤面や状況、セットされているエネルギーのことを考えると選択肢はさらに増えていきます。

 

・リソース確保のために攻めすぎず、ブロッカーを残しておく 

・自身の場に強いメンバーがいるが、「ディストーション」がセットされていないと読んでサブコアをアタックする 

・相手のチャージが無色のみなので、少し無理をしてサブコアをアタックする 

・複数属性の混合デッキを組む際に、コスト支払いを考えてメインコアとサブコアの属性を変える 

 

……段々と話が難しくなってきたのでここまでにしますが、なんとなく択が多いのは伝わったのではないでしょうか。必ずゲーム開始時から盤面にあるカード1枚で、色々な動きが想定できるんですよね。 

 

〇例2:「テンポラリ・チャージ」 

 続いて「テンポラリ・チャージ」です。チャージ(コストになるカード)を2枚増やすことのできる強力なトリガーカードなのですが、トリガータイミングが少し厄介で、「いずれかのプレイヤーの、そのターン2回目以降のメンバーのアタック時」になっています。つまり、お互いに毎ターン1回ずつしかアタックしていない間は、このカードは使えないわけです。 

 

 さらに言えば、主なチャージの使用タイミングはメインフェイズ。できることなら、相手のアタックフェイズで使用して、次の自分のメインフェイズにシームレスにつないでいきたいところです。そのため、相手より先に「1ターンに2回以上アタックする」ことはそれなりのリスクになるんですね。 

 

 さらにさらにこのカード、相手の攻撃で自分のサブコアが解放され、エネルギーがリムーブにある間、1回目のアタックから使用可能になるんです。 

 

 当然相手の手札は見えないので、こうしたことを加味しつつ、相手の「テンポラリ・チャージ」をケアしながら動くことになります。これ一つミスるだけで負けに直結することもあるので恐ろしいところです(n敗)。 

 

 ちょっとしたtipsにはなりますが、相手からサブコアを狙われている場合は、何とか2回目の攻撃に持ち込むことを意識するといいですね。「テンポラリ・チャージ」があれば、比較的軽症で次のターンにつなげますし、ないならないで、相手が警戒して攻撃をやめたりする場面もちらほらあり、ブラフとして成立することがあります。 

 

 また、これは完全に余談ですが、「テンポラリ・チャージ」をはじめとするギョクズイ(無属性)のカードは、カードパワーが少し高めに設定されています。なので、採用枚数を増やせばその分デッキパワーは増しますが、チャージにおける属性不足などの事故も起こりやすくなります。この辺りも、デッキ構築段階での選択肢と言えるでしょう。 

 

〇例3:「グラデ・スネーク」 

 さて、最後にご紹介するのが、「グラデ・スネーク」です。ヒスイはグレートビーストの2コストメンバー。効果はシンプルで、このカードがダメージを与えたとき、条件付きで1枚ドローすることができます。 

 

……いやぁ、地味ですよね笑。 

 

 強いには強いんですが、駆け引きの要素なくない?と思われた方も多いかもしれません。最後の紹介がこいつ?って感じでしょう。 

 

 ですがこの蛇さん、意外と採れる択が多いんです。そもそもこのカード、「ダメージを与えたとき」という条件の割に、与えられるダメージが1なんですよ。反面、パワーは5000と、2コスト帯ではトップクラス。大抵の2コスト以下は相討ち以上にもっていけます。つまり、このカードの役割としては、 

 

・与えるダメージが少ないのを承知で、ドロー目的でメインコアをアタックする 

・ドロー効果を捨て、パワーの高さを生かして、サブコアや相手メンバーをアタックする 

・ブロッカーとして立てておく 

 

といったことが考えられます。これらを状況に応じて選んでいくわけです。また、メインコアへのアタック時は、相手も択を迫られることになります。 

 

・1ダメージとドローされるのを覚悟で、自身のリソースを温存する 

・ドローされたくないので、1ダメージのためだけに自身のリソースを使って防御する 

 

こんな感じで、シンプルなテキストに反して、お互いに考えることが多いんですよね。1枚で見たときのカードデザインとしては、個人的に結構気に入っているカードの1枚です。 

 

 ここまで読んでくださった皆さん、ありがとうございました。少しでもメレクリの面白さや奥深さ、こだわりが伝わっているといいなと思っています。 

 

 正直難しそうだな……と思った皆さん。その難しさが逆にクセになってくるのが「Melee the Crystal」です。騙されたと思って一度プレイしてみてください。そこでメレクリの面白さを体感していただけると幸いです。 

 

 

 第1回に比べ、かなり長くなってしまいましたが、改めて最後までお読みいただきありがとうございました。また次回をお楽しみに!